仕事柄行政の方ともお仕事をさせていただくことがあり、かつ以前から「?」と思うことがリアルにというより、さらに突っ込んで書かれていてめちゃくちゃおもしろかったです。
これ単なる地域活性のお話ではなく、ビジネスの基本を学ぶ上でも素晴らしい本だと思います。
著者である木下斉さんを知ったのは、最近良く聞いているVoicyという音声アプリで、登録していたちきりんさんを通じて知りました。地域活性を専門に事業を展開されているという一般的には耳慣れないプロフィールに興味を持って聞いてみると、これがめちゃくちゃ面白い。
すぐにハマってしまいました。
話を本に戻してなぜこの本に興味を持ったかというと、行政が予算を使ってブランド商品を作っている現状に疑問を持っていたからでした。
地域の特産品をブランド化することにより、地域の認知向上、生産者の所得増大を目的とし、運営が軌道に乗るまで行政が運営を行い最終的には民間に移譲します。
ここだけを聞くと耳障りがよく最もなような気がしますが、翌々考えてみると市場を対象とした会社運営を行ったことのない行政が、コスト感覚なく初期から生産者に高値で買い取った上で商品を作り、税金を導入することによって運営販売するのが常です。
その商品も同じような6次化商品と差別化することが難しく、同じような商品が並べられ少し高いジャムや油やドリンクが道の駅や農協直売所で販売され、それほど売れずに在庫の山となってしまいます。
在庫となった商品たちは、職員たちに無理やり販売され完売されると、その結果だけを元に新たな製造計画が翌年も予算を使って行われるのです。
つまり商品を作る上でゴールの設定が間違っている。
「なぜ」その商品を売りたいのか?
「どんな人に」「なんの価値を」サービスとして売っていくのか?
というゴールが設定されていないから、誰に届けたいのかよくわからない内容や、PRで間違った流通に流してしまいます。
まるで間違った仕掛けと餌で魚を釣ろうとしているみたいな感じです。
その辺りからさらに突っ込んで、助成金や補助金を当てにした地域業者と行政職員との関係などなど、小説として面白おかしく書かれています。
この本を読んで私の疑問に思っていた点がかなりクリアになりました。
なかなか地域活性と言ってもピンとこない人も多いと思いますが、血税を無駄に使ってほしくないという視点を持って読んだり、開業やビジネスを行っている人ならば、ビジネス書としても基本となることがたくさん書かれていますので是非オススメしたい1冊です。