今年、今の事務所に引っ越してきて、そこに居付いていた黒猫がいました。
最初、すっごくやせていて貧乏くさいそいつは、声が出なくって尻尾も子供のころ踏まれたのか、変に丸まっていて不細工な奴でした。
それでもその貧乏くさいところが妙に同情心をあおり、エサをやるようになりました。
朝と夕方の2回決まってやってきて、玄関を開けていても敷居をまたぐことなくえさをもらうのを待っていました。
あんなに痩せていたのに最後当たりはぶっくりと太ってしまい、メタボ猫になっちゃいました。
ところが、先週あたりから猫取りにでも取られたのか、近所の猫がぱったりといなくなってしまいました。野良猫だから仕方ないといえば仕方ないのですが、なんとなく毎日寂しいなぁ~と思っちゃいます。決まった時間に「ひょっとしたら来ているんじゃないか」とか思って、外をついつい見に行ってしまいます。もし、猫取りに取られていたら、最後ガス室で声にならない声を出したのだろうか?
「やっとまともに生きれるようになったのになぜだ?!まだ生きたいんだ!」
生きるって残酷で無常だと思う。
でも、少しだけでもいいように考えるとするならば、幸せの瞬間はきっとあったんだろうなということ。
最初来た時ってガリガリで今にも死にそうだったのに、最後はブクブク太っていたからその間は幸せだったんじゃないかなぁと思う。きっと猫に人間のような感情があるとするなら、「あ~、良かった。俺はやっと今日から食うことを心配しなくても生きていける。」って思ったかもしれないなぁ~とね。その瞬間ってすごい充実していたんじゃないかな。そう信じて意味がなかったわけじゃないと思う。
猫がこんなこと思うわけないけど、あまりにも突然いなくなっちゃったんで、本当に死んじゃったとしたらむごいなと思って。
とか言って明日行ったら「‥‥」(ニャー)とか言ってさ。(←奴は声が出ない)