農家になるって本当に夢のある仕事なんだろうか?

農家になるって本当に夢のある仕事なんだろうか?

いつも聴いているポッドキャストで、ある人が離農したと投稿していて、それに対してパーソナリティの方が「おめでとう」って言っていました。

辞めた理由は労働量の割に収益が全く上がらないこと。それと仕事中に負った怪我が原因で、心が折れたことだと言っていたように覚えています。
パーソナリティの方は「農業を続けたいと思わないんだったら辞めたほうががいい」って言ってました。

それを聞いていて思ったことがあるので言葉にしておこうと思います。

農業って経験年数(親子3代とか)をある程度かけないと利益を上げにくい業種だと思います。もちろんこれまでの販路とは違った形で高単価をつけれる品目と顧客をつければ違うけど、経営経験のない人が生産技術を身につけて、既成の農業経営を座学で学んでも、普通に独立開業するより難易度が高そうだなと思います。
原因の一つが販売価格を自分で決められない(市況に影響される)というのが最大のネックだと思います。

今年なんて暖冬でキャベツが1個50円で売られてて本当に農家の方がかわいそうに思いました。反あたりにかかるコストは変わらないのに、販売価格は自分で決めれないなんてビジネスとして無茶な話です。

冒頭で紹介した離農した人も何作っていたか分かんないけど、日本の自給率が低くて野菜が足りていないならずっと続けていられたと思うんですよね。
だけど値段がつかなくて、売上に対する自分の労働力とその他の経費を比べたら、絶対割に合わないって思ったから辞めたんだと思います。

そもそもこの話を聞いてて思ったのが、国内の自給率ってもう足りてんじゃないの?ってことなんです。

自給率についても農水省が発表している自給率ってカロリーベースと生産額ベースの2つあります。
カロリーベースはその名の通りカロリーを基軸にしたもの。国民一人当たりが1日に必要な熱量2426kcalに占める国産の熱量の割合です。

生産額ベースは食料の単価をベースに国民全体に供給される食料品目の総額に占める国産品の割合となっています。

ちなみに令和元年度の調べでカロリーベースでの自給率は38%。生産額ベースでは66%という数字でした。
カロリーベースでの数字だけを見ると日本ヤバッって思っちゃいますが、カロリーなんで油脂とかの方が、野菜よりも圧倒的に高いので、野菜をいっぱい作ってもあんまり上がらないんですよね。

この数字は間違っていないんですけど、これまで僕が抱いていた印象とちょっと違うんです。
これまで思っていたのは日本人が食べている食品が自国で全然足りていなくて、このままじゃ将来大変なことになると思っていました。

国をあげて日本の食が大変とか言っているけど、それはただ煽っているだけで、食料自体は本当はもう足りてるんじゃないかな?って思うんです。
だってこれから人口もっと減るんですよ。食べる人が減るのに計画もなく就農させても意味なくないですか?
ちゃんとコレコレの品目が足りていないから、この地域でこれを作ってください。その代わり住むところと農地と機械などは無利子で貸し出しします。とかじゃないとせっかく就農したのにかわいそうです。

それか今よりも少ない生産者で農地を集約させ、反あたりの生産量を増やす方向にしたほうがもっと合理的です。その方向で国も政策を進めているのですが、中々進んでないのが現実のようです。
つまり生産性を落としているのは農家自身なのかもしれません。

米でさえ米価が下がってきている状況です。それって作りすぎて米が余っているってことじゃないでしょうか?供給過剰になっているのに、カロリーベースの自給率を見せて日本の農業が大変だ!っていうのもちょっと違うように思いました。

だから職業として農家を選ぶのは相当な努力と覚悟が必要だし、何より野菜や米、果樹を育てるのが大好きじゃないと難しいと思いました。もちろんビジネスチャンスを自ら作り出して儲けれる人もいると思いますが、新規就農して誰でも努力すればできるというものではないと思います。そういう人は趣味位で楽しめばいいと思います。

野菜は新鮮なものの方が絶対美味しいので、趣味で楽しめる程度に畑を借りて、家庭で消費できるくらいの野菜を作って、そのおいしさを楽しんだらいいと思います。

もともと農家の人は親が農地を持ってて、機械とかもあって販路やノウハウもあるので、新規就農者に比べれば生産に注力しやすい環境だと思います。
少しイレギュラーですが都市近郊の農家なら不動産収入もあったりして、そもそものベースが違いすぎます。
長く住んでいる農家は地元の行政や政治家にも影響力がある場合が多く、経営だけじゃない力も持っている場合があります。

あとお金の問題が大きいです。
新規就農しちゃうと大抵補助金を使うことになるので、それが2分の1出るとしても、一旦全額支払いをしなきゃなりません。そんな大金持っていませんから融資を受けて、事業を始めることになります。事業報告書を提出して補助金を受けとっても、残額は借金として残ってしまうので、新規事業としてはかなりリスクが大きいビジネスモデルだと思います。

野菜作るのは、性に合えばマジ面白いし、作った野菜はどんな形をしていても美味しいし、食べきれないものを人にあげれば喜んでもらえて嬉しいし、健康にも良くていい趣味だと思います。

現実を言うと夢がないとか言われそうだけど、現実をきちんと把握することは何をするのにも基本なので、その上で自分はどうしたいのか考えてやんないと、現実に押しつぶされて夢や目標が何だったのかわからなくなってしまうよなぁ〜と、聞きながら思った次第です。

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この記事を書いた人

パソコンとネットの何でも屋さん兼農家見習い中
2021年に奥さんに腎移植して人生の価値観が大きく変わりました
何が起きても諦めずに生き抜く力が一番大切
時々ブログも書いてます

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