行き詰まったときや、焦りを感じているときに、なぜか繰り返し見たくなる番組があります。
それが、人間ドキュメント「人も長持ち モノも長持ち」です。
この番組では、愛知県知立市にある町工場を経営する成瀬博さん(当時93歳)が紹介されています。
定年なし、残業なし、最新機械も導入しない。それでも43年間黒字経営を続けているという、今の時代では珍しい経営スタイルです。
その背景にあるのが、「金よりも仕事が上」という強い信念です。
番組の中で語られるこの言葉が、いつも心に残ります。
大企業は金のほうが仕事より上だと考えるが、自分は仕事のほうが上だと思っている。
最初にこの言葉を聞いたとき、正直なところ意味がよく分かりませんでした。
しかし、仕事を続ける中で、少しずつその本質が見えてきたように感じています。
成瀬さんは創業当初、大企業の下請けとして事業を行っていました。
しかし、その関係の中で違和感を覚えるようになります。
「仕事をやらせてやっている」
「儲けさせてやっている」
そうした考えが根底にある企業ほど、強引な値引きや短納期を求めてくる。
その結果、良い仕事ができなくなる。
この状況に対して成瀬さんは、はっきりとした結論を出します。
「そんな条件では、いい仕事はできない」
そして下請けの仕事を断ち、自分たちの信念に沿った経営へと舵を切ったのです。
さらに印象的なのが、次の考え方です。
「金を出せば何でも手に入るわけではない。仕事には仕事の価値がある」
これは単なる理想論ではなく、長く続く関係性を築くための本質だと思います。
お金をいただく以上、お客様は大切な存在です。
しかし一方で、仕事は単なる“売り物”ではありません。
相手の仕事を尊重する気持ちがあってこそ、信頼関係が生まれ、結果として良い仕事につながる。
そしてその積み重ねが、長く続く取引や経営を支えていくのだと感じます。
もし「お金のためだけ」に働いてしまえば、仕事は消耗になり、自分の時間や人生そのものを切り売りすることになります。
だからこそ大切なのは、
・何のために働くのか
・誰のために働くのか
この軸をしっかり持つことではないでしょうか。
傲慢にならず、かといって必要以上にへりくだることもない。
自分の価値と仕事をきちんと認め、その上で相手と向き合う。
そんな姿勢を、この番組を見るたびに思い出させてもらっています。
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