多少のお金があるより人から頼られて死ぬまで働ける方が幸せかもよって話

幾つになっても働きたい

私の父は80代なのですがまだ現役で働いています。父は若い頃から「親父(僕にとってはじいちゃん)が70歳まで働いたから、俺もそこまで頑張る」が口癖でしたが、もうとっくにその年を超えています。

7人兄弟の父は中学を卒業すると家を出て大阪で働き始めました。昔はそれが当たり前だったから、別になんとも思わなかったそうです。それからいくつか仕事を変えた後、地元に戻って兄が始めた家電販売店継いで現在まで続けています。若い時に就いた職場では年金などかけていなかったので、年金無しで自分で稼いだ金だけで細々と生活しています。

これを見て、若い時の僕は「こうなりたくないな」と思っていました。いつも母は大人になったら、お金に苦労しないサラリーマンになれ!って言われていたし、サラリーマンのいとこの家はいつだってうちよりもいいものがある、豊かな暮らしをしているように見えました。それに比べると我が家はいつも貧乏だったし、月末になるとお金のことで夫婦喧嘩をしていて、子供心にそれを見るのが嫌でたまりませんでした。

そう言う流れで僕は大学を卒業してしばらくして安定したところに就職しました。当時のその職場は本当に牧歌的で楽なところでした。少し物足りなさを感じつつも、仕事とプライベートを分けて考えて、労働をお金を得るための手段として割り切ることにしました。その代わり残りの時間は勉強していつか同僚とは違う人間になろう!と考えました。しかし蛙の子は蛙とはよく言ったもので、どうしても組織に馴染めずに30代後半のある時に会社を辞めて独立する道を選びました。

そうして自分でやってみるとこれまで当たり前だと思っていたことが、そうではないと言うことに気がつきます。

サラリーマン時代は、給料って1ヶ月働けば当たり前に貰えるものと思っていたし、税金や健康保険がこんなに引かれていたなんて知りませんでした。現役の頃に給与明細を見ても、項目の意味など全くわかりませんでした。

ボーナスも同様にもらって当たり前と言う感覚です。ボーナスは組織全体として利益が出ているから、社員に還元しようと言うのがそもそもの考えなのにその意味などわかりません。

有給休暇も同じ。これは労働者にとっては権利なのは流石に理解していますが、経営者になった立場で考えると働かなくても1日の賃金を保証しないといけないなら、ちゃんと会社に利益を出してくれと思ってしまいます。

サラリーマンを辞めて自営業者になって見えたその風景はこれまでと180度違うものでした。

翌年の税金と健康保険料の金額にビックリ。これまでこんなに払っていたのかと正直驚きました。

毎朝決まった時間に会社に行けば、いつものように仕事があります。しかし自営業となると働く場所も自分で作らなくては行けませんし、仕事もいつもあるとは限りません。

その上売上によって入金が左右されますが、生活にかかる金額はどんなに切り詰めても決まった金額が必要です。

そんな中スタートした経営ですが、最初はわずかばかりあった貯金を切り崩しながらも、人に恵まれ、少しずつお客様を増やしていきながら現在に至っています。

何度か、「もう、自営を諦めてサラリーマンに戻ろうか」と思ったこともありました。しかしそんな時、不思議と別口から仕事が入ってきたりして、支払いが滞ることなく済ませることができて、不思議な感覚になったことが何度もありました。こういった経験をすると、自分は単に生かされていて、見えない不思議な力に守られているような気がしてきます。だとしたら世の中に役にたつように働かなきゃいけないなと思うようになりました。

別にスピリチュアルとか言うことじゃなくって、社会の中で人間同士が繋がりを持って生きていることを実感したといった方が近い感覚です。

そういったわけでなんとかかんとか、いろんな人の助けや力でここまで続けてこれました。

これまで経営を続けてきて大切に思うことは、

  • 信用を大切にする。
  • 人を裏切らない。
  • 嘘をつかない。
  • 期待を超える努力を惜しまない。

といったごく当たり前のことばかりです。

そんなこんなで知らないことを失敗しながら学んでいくうちに、父のことを見る目が少しずつ変わっていきました。父は計画性がなく、行き当たりばったりですが、ある意味経営を誰にも習ったことなく、浮き沈みを経験してきたので仕方がなかったのかな?とも思えてきたのです。

それより、どんなに売上が少なくても、お金が回り続けていれば倒れないんだなぁ〜と言うことも学びました。

商売人として決して成功したとは言えない私の父ですが、80代でも現役で働いていることは、本当にすごいなぁ〜と尊敬します。自分がもしその年齢まで生きれたとしても、果たして同じことができるか正直自信がありません。

今年で独立して20年近くの時が経とうとしています。振り返るとあっという間の出来事です。独立したてのような野心はもう今はありません。これからしたいと思うのは、これまで経験したことを繋いで、誰かの役に立つサービスを作ってみたいと考えています。

そして可能な限り父のように幾つになっても働こうと決めました。自分にできることで社会とつながり、困っている人の役に立てれば、それはそれで幸せなんじゃないかと思うからです。

もちろんそこには経営がありますのでボランティアではしません。必ず報酬をいただいて双方良し。できれば三方良しを目指したいところです。ボランティアでは長続きしません。それでは困っている人が本当に困った時に助ける人がいなくなってしまいます。

成功を夢見て独立したものの、一般的に見ると大したことは何もできていないけれど、まぁそれはそれでいいのかなと納得できるようになりました。

若い時に憧れていたかっこいいは、大きなお金を稼いだり、時の人としてテレビやマスコミに大きく取沙汰されて有名な人のことをかっこいいと思っていましたが、今思うかっこいいはそう言うものではなく、人に好かれている人だったり、笑顔が素敵な人だったり、幾つになっても前向きに物事に取り組んでいる人に魅力を感じ心が惹かれます。

私は零細自営業者ですので、社会保険や企業年金などがある方々と比べると、将来のことを考えると不安がないわけではないですが、働けるうちは幾つになっても働こうと決めてから気が少し楽になりました。

お金がなくても生きていく力は、サラリーマン時代より知恵も能力も上がりました。自分の労働以外に売るものを作ることだってできます。それに何より人に嫌われるような生き方をしなければ、本当に困ったときには何とかなるものです。

まだ見えない未来に不安を覚えるより、今ある幸せを感じて精一杯生きていくことが未来の幸せにつながると信じています。

その時彼らに、
「なんで悲しい顔をしているの?」って言われて、
「今日みんなでお腹いっぱいご飯を食べて眠れたら、それで幸せじゃないか」

「まだ見えない先のことを不安に考えて、今ある幸せに気づけなくなってしまうくらいならば、今精一杯幸せに生きることがこれからの幸せなんじゃないかな」
と言われた時に、
すごくハッとして
生きることがシンプルに思えるようになりました。

ユニクロのジーンズLIFE ヨシダナギ編
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この記事を書いた人

パソコンとネットの何でも屋さん兼農家見習い中
2021年に奥さんに腎移植して人生の価値観が大きく変わりました
何が起きても諦めずに生き抜く力が一番大切
時々ブログも書いてます

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