このあいだ読んだ「食堂かたつむり」。
その中にとても心に残った文がありました。
忘れないように残しておこう。
家財道具も調理器具も財産も、持っていたものはすべてなくした。けれど、私にはこの体が残っている。
食堂かたつむり
〈-省略-〉
祖母から譲り受けたレシピの数々は、すべて私の舌に残っている。
〈-省略-〉
様々な飲食店で修行を積んだ経験も、この体の血や肉や爪の間に、年輪のように刻み込まれている。
たとえ衣服を剥され素っ裸にされたとしても、私は料理を作ることならできる。
全てを失ってもそこから始められる強いものを持ちたいな。
そんな強いものを持って、生き続けて生きたいなと思わされた一冊。