先日、新聞のコラムを読んでいて、思わず手が止まりました。田原総一郎さんの「仕事力」という話の中に、こんな一節がありました。
「三方善し」という言葉を習いました。商売人は「お客様のために善し」「世の中のために善し」「自分のために善し」の順番を守りぬけと。顧客に喜ばれ、社会に貢献し、それがやがて利益となって自分に帰ってくるという教えです。人は誠意あるものを購入しているし、誠意ある人に付いていくのです。
読んだ瞬間、「すごいな」と思いました。
Win-Winって言うけれど
ビジネスの言葉でよく聞く「Win-Win」。自分も得して、相手も得する。それが理想の関係だ、と。
でも「三方善し」は、もう一段深いんですよね。
自分と相手だけじゃなく、「世の中」という視点が最初から入っている。しかも「自分のために」は最後。お客様のため、世の中のため、その順番を守った結果として、自分に返ってくる。
これ、江戸時代から続く近江商人の教えなんですよね。何百年も前の言葉なのに、まったく古くない。むしろ今の時代の方が、響く気がします。
日本という国も、まんざらじゃないなあと思いました。
人間関係って、ついつい「2点」で考えてしまう
このコラムを読みながら、ふと気づいたことがあって。
人と人の関係って、「自分と相手」という2点で考えがちですよね。この人は自分にとって得か損か、とか。あの人は何をしてくれるか、とか。
でも、その関係性って、実は他の誰かともずっとつながっているんですよね。
自分と誰かの関係が、その人の周りの人にも影響している。誰かを助けた行為を、見ていた別の誰かが受け取っている。自分では気づかないところで、波紋みたいに広がっている。
その関係が「2点」から「3点」になったとき、それが世の中のためになる。
三方善しって、そういうことを言っているんじゃないかなと思うんです。
誠意って、ちゃんと伝わるんだと思う
もう一つ、「人は誠意あるものを購入しているし、誠意ある人に付いていく」という言葉も印象に残りました。
値段とか機能とかで選んでいるようで、実は「この人から買いたい」という感覚で動いている。その根っこにあるのが、誠意なんですよね。
誠意って、すぐには結果に出ない。でも積み重ねていくうちに、にじみ出てくる。長い時間の中で、ちゃんと誰かに届いている。
そう信じたいと思っています。
「世の中のために」は、今はまだ小さくていい
正直に言うと、今の自分にとって「世の中のために」は、まだとても小さなものです。
このブログも、誰かの役に立っているかどうかなんて全く自信がありません。でも、読んでくれた誰かが「そうだよな」ってちょっと思ってくれたらそれで十分だと思っています。
大きなことをしなくていい。ほんの少しずつ、広げていければいい。
三方善しのコラムを読んで、そんなことを考えました。